特性X線の検出

Cs137では33keV(Naiの場合)、Ba133では31keVに特性X線が検出されます。この特性X線のカウント数が上がらないので原因を調べました。何故カウント数が少ないかは、雑音と判断されて有効なパルスと認識されていないためだと分かったのですが、何故雑音と誤認識されるのかがすぐには分りませんでした。色々調べて分ったのは、ソフト的な問題でした。

ガンマ線のパルスかどうかの検出はマイクロコントローラ(STM32F207)で行っています。このコントローラはアナログウォッチドッグという機能があり、一定以上のAD変換値になったら割り込みがかかります。この割り込みがかかるレベルを最低のエネルギー検出レベルにしていてガンマ線のパルスが入った時に割り込み処理でカウントするという流れです。カウントが終わればコンデンサの電荷を放電させるためトランジスタQ2をオンにします。回路1

割り込みがかかるのは本来のパルス以外に雑音の場合もあり、AD変換を3回行っていずれの値も最初の値以上かどうかで雑音かどうかを判定しています。誤検出が起きていた原因はトランジスタをオンにして電荷を放電させるのを本来のパルス以外でも行っていたためでした。、トランジスタをオンにするとオペアンプの出力は0ではなく数10mV程度上がります。トランジスタをオフにすると数μsec程度で0に戻ります。雑音が多くない時は問題ないのですが雑音が多くなると数10mVが0に戻る前に雑音が入ってしまい、数10mVが連続するようになってしまいます。そうするとその数10mVで割り込がかかるようになり、今度は連続した数10mVの値ですので本来のパルスと認識されるようになってしまいます。この誤認識が起こらないようにするため、閾値を上げないといけなくなり、特性X線のカウント数が上がらないという事でした。雑音の場合はトランジスタをオンにしないようにしたところ、問題が無くなり、Ba133の特性X線(31keV)の場合でも正常にカウントされるようになりました。