測定器(GeoGamma220)を車に載せて、走行テストを行いました。ルートは阪神間の海と山で、西宮周辺の湾岸と六甲山です。テストには、比較のため、TCS-172Bという福島ではデファクト的なサーベイメータでの測定値も取得するようにしました。写真の左側がTCS-172Bでシンチレータは1インチです。右側はGeoGamma220でシンチレータは2インチで、ガンマ線の計数率感度は理論的には8倍です。
TCS-172Bからはフルスケールで10mVのアナログ電圧が出ていますので、その出力をGeoGamma220のアナログ入力に接続して、同時にデータをサンプリングしています。TCS-172Bの測定パラメータはレンジは0.3μSv/h、時定数は10秒で行いました。
湾岸を走行した結果を専用の表示ソフトで表示したのが次の図です。地図上の青の線が走行ルートで、下側のグラフがGeoGamma220の計数率(cpm)、右側のグラフがエネルギースペクトルです。下側のグラフを見ると値が3か所でドロップしているのが分かります。図をクリックすると拡大され変化しているのが良くわかります。
この3か所が何故低くなっているのかは、計数率を色分けして地図にプロットすると分かります。それが次の図で、色は計数率が高いほど暖色系、低いほど寒色系です。
この地図を見ると3か所、青色の部分があり、そこはいずれも橋の部分である事が分かります。表示ソフトではグラフをクリックするとその値に対応する地点が地図上に表示されますので、値が下がっているのは橋の上であるという確認ができます。
下側のグラフで赤の線はGeoGamma220の値で、青の線はTCS-172Bの値です。横軸は時間、縦軸は計数率で、両者が同じような位置に表示されるようにTCS-172Bの値は倍率をかけています。青のグラフを見ると、赤に比べ、値の変化がなだらかで、変化量も少なく、変化する位置が橋の位置とずれています。両者のグラフの違いは1点の測定に要する時間が青(TCS-172B)は10秒で、赤(GeoGamma220)は1秒である事が主な原因だと考えられます。TCS-172Bで10秒かかるのは、この地域での線量率が0.05μSv/h程度で1インチのシンチレータでは計数率が低く、1秒では値のばらつきが大きくなりすぎるからです。
橋の上でガンマ線が弱くなるのは、ガンマ線を発生している岩石や土から距離が離れるのと水による減衰のためだと考えられます。
(小林一英)