ガンマ線:エネルギー直線性

スペクトルデータのピークの位置が本来の値として表示されるためには、アンプゲインだけでなく、直線性が問題となります。そこで、Cs137のピークの位置を基準として、他の線源のピークが本来の位置からどれだけずれるか検証しました。使用したピークはBa133の31keV,81keV,Cs137の662keV,Co60の1172keV,バックグランドのTl208の2615keVです。10台のディテクタについての結果が次のグラフです。

エネルギー直線性

もし吸収されたエネルギーとパルス高が正確に比例するのであればグラフは横一直線になる筈ですが、それとは違いプラス7%マイナス10%程度の誤差があります。NaIシンチレータにこのような非直線性があるのは文献でも述べられています。

「球形NaI(Tl)シンチレーション検出器のスペクトル-線量 変換演算子の決定」 (森内茂他)には次の図が掲載されています。

PulseHeigthVsEnergy 今回の測定結果はこの図の傾向とよく似ていて、NaIシンチレータではパルス高をエネルギーに変換する場合は補正が必要な事が分かります。補正は10台の測定結果を見るとそれぞれ違っていて、これを一つの補正関数で行う事ができるのかどうか分かりません。方針としては個別に行うとして、各線源のピーク間を直線で補間するという方法でテストしたところ特に問題なく補正ができました。